- #死亡原因
事例28 医療過誤(CT検査所見の見落とし)による損害賠償請求事案
事案の概要
案件者:60代 男性
2013年、被告病院(外科)にて胃癌の手術を受ける。以降、被告病院にて経過観察を継続。
2018年1月、転移・再発チェックのための胸腹部CTを施行するも、「肺野に異常所見なし」とされ定期健診での経過観察となった。
それから2年後となる、2020年3月、食欲不振・体重減少のため入院。
そこで再度2018年1月に撮影した当該胸腹部CTの画像診断報告書を医師が再確認したところ、放射線医のレポートに「肝腫瘤疑い」の所見があることに気付く。その後、肝腫瘤の増大、肺転移を認め、1か月後に、死亡された。
争点
2018年1月撮影の胸腹部CTにて検査結果の見落としが無かった場合、死亡日以降にも生存していた蓋然性について
弊社の利用サービス
1.放射線科専門医による画像鑑定
2.消化器外科医による医学意見書作成
1.放射線科医による画像鑑定
メディカルリサーチの画像鑑定で2018年1月の胸腹部CTで「肝腫瘤疑い」を明らかに認めた。(画像参照)
被告病院の放射線科医からの指摘が当初からなされていたものの、主治医がそれを完全に見落としをしていたことを裏付けた。
2.消化器外科医による医学意見書作成
そこで、さらに消化器外科医への意見書前相談を行い、見落としが無かった場合に死亡を回避できたか否かを精査しました。
「胸腹部CTで認められる肝腫瘤について、腫瘤の大きさや、既往症等を踏まえ、予想される治療を行った場合の経過や予後について」
患者の既往や画像所見を考慮すると 原発性肝細胞癌(HCC)というより原発性肝内胆管癌(CCC)や肝転移の可能性が高いと考えられた。
どちらにしても、発見時に外科的切除が行われていれば、実際の死亡日以降も生存していた可能性は高いものと考えられる。また、患者の状態を考慮しても、発見時での患者の容態は、肝予備能は保たれ手術耐術能に問題なく、呼吸機能・心機能の評価からも全身麻酔に適応でき、手術可能であったものと考える。
総括
発見時に外科的切除が行われていれば、死亡日以降も生存していた蓋然性は高いものと考えられる。