医療過誤

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事例1 事故か疾病か?転倒後の死亡・・・脳内出血の本当の原因を鑑定

患者は転倒し頭部を打撲。病院に搬送されたが数日後に死亡が確認された。搬送直後の頭部CT検査において脳出血が認められ、頭部打撲による脳出血で死亡したものと考えられた。この脳出血は転倒事故によるものか、あるいは内因性の出血で事故に至ったのか?

画像所見と臨床経過

脳室内にhigh density areaを認め、急性期の脳出血を示唆する所見であり、くも膜下出血あるいは脳出血による、脳室穿破している所見である。

パンタゴン脳槽にhigh density areaを認めます。くも膜下出血を示唆する所見です。周囲には、脳出血病巣を認めません。くも膜下出血の原因は、動脈瘤や脳血管奇形が多いので、これら血管異常を鑑別する目的で、造影CTを実施すべきですが、この症例では実施されていません。
不完全な検査であることが多いので、救急病院での対応に問題があるケースもあります。

 

本事案は転倒事故による脳内出血で死亡したと思われていたが、そうではなかった。

  1. 明らかな頭部外傷や頭蓋骨骨折の所見は認められない。
  2. 脳底槽および前橋槽に急性期の出血を認め、脳室穿破している。→外傷によるクモ膜下出血ではなく、動脈瘤の破裂による出血を示唆する所見。
    ※クモ膜下出血に関しては、どの動脈瘤の破裂によるものかは、鑑別できない。造影CTあるいは血管造影をこのあと実施するべきですが、検査が実施されていないので、動脈瘤を直接証明できていない。
  3. その他に異常を認めない。

本事案のポイント

本事案は、転倒事故による脳内出血で死亡したと思われていたが、そうではなかった。頭部CTでは、明らかな頭部外傷や頭蓋骨骨折の所見を認めないにも関わらず、脳底槽や前橋槽に急性期の出血を認められる事から、内因性のクモ膜下出血による事故と考えられる。
外傷性のくも膜下出血との鑑別や外傷性脳出血との鑑別が必要だが、画像の丹念な鑑定業務で明らかになることが多い。