労災事案「医療顧問」サービスとは
企業人事部と
顧問弁護士をつなぐ、
定額医療顧問サービス
労災事案においては、従業員の診断書や担当した医師の見解(医学意見書)が必要になるなど、企業人事部と顧問である弁護士の先生との間のやりとりは、負担が大きいものとなりがちです。
弊社では、労災事案に関して、看護師資格を有するスタッフが、難解な医療用語や医療的解釈、専門医への質問事項の整理や追加すべき質問事項の選定、事案の進捗管理まで、定額にて、事案終了までサポートする医療顧問サービスを提供しています。
サービス内容・費用
お抱えナース3万円/月額(事案終了まで)
看護師が不明な医療用語や医療的解釈、専門医への質問事項の整理や追加すべき質問事項、事案の進捗管理まで看護師がその都度サポートしていきます。人事部の方の強いサポート役としてご活用ください。
労災事案の鑑定事例
流通センターにおける労災
- 発生状況
- 流通センター内で、複数枚重ねられた納入用バケットを外す作業に従事していたところ右足を下部のバケットに押し当てて両手で上部のバケットをなんどか引っ張ったところ転倒し腰部を負傷した。症状は、腰痛と右下肢しびれが一貫して出現している。
- 争点のポイント
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- 業務起因性の事故か
- 障害の程度、労働能力喪失とその期間、安全義務違反の有無
担当医師による労災事案の精査
受傷機転を見れば、特に危険性がある作業行為とはいえない。
正常な椎間板を損傷する危険性が高いとはいえないが、衝撃でヘルニアを生じ、その刺激症状が生じたと考えられる。つまり椎間板ヘルニアは易損性の状態であることが伺える。年齢的にも椎間板の変性が生じていた可能性がある。
資料のMRIを見ると脊柱管内に椎間板の膨隆はないが、L4/5の外側ヘルニアを認める。脊椎孔外で神経根が絞扼されている可能性が高い。障害神経はL4神経根となるので、自覚症状の疼痛を引き起こすことの原因となりうる。また神経学的検査の結果とも合致している。
外側のヘルニアは臨床で見逃されることが多く、初期の診断が適正に行われず適切な治療が行われていないため症状が残存したと言える。事故より1年7ヶ月程度で症状固定となっているが、やむを得ないであろう。
結論
業務起因性の事故と思われ安全義務違反が問われていたが、実際には特に危険性の高い作業行為とは言えない。他方、労働能力喪失が事故から現在まで継続したと考えられる理由は、医療機関側の初期診断が適正に行われなかった点にある。従って争点である2点については企業側に過失は無い。
労災の最新動向
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労災に関する現状と今後の流れ
当社に依頼される労災事案は2017年頃から続伸しています。依頼科目は就業中の事故による整形領域のものやパワハラ、セクハラなどのPTSD関連の精神科、過労死などが目立ちます。他に外国人労働者が絡む依頼も多数発生しております。
厚労省の発表によれば、労災における死亡者数は近年減少傾向ですが、死亡事故の型別では、全業種で「墜落・転落」が最も多く、次いで「交通事故(道路)」や「はさまれ・巻き込まれ」が多く占めます。死傷者事故の型別は、最多が「転倒」、次いで「動作の反動・無理な動作」であり、合わせて全体の4割を超えており、さらに増加傾向にあります。年齢別では、60歳以上が全死傷者数の約4分の1を占め、労働人口の高齢化も影響しています。労働災害防止計画期間ごとの主な事故の型別死傷災害件数の推移
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労働人口の高齢化
労働人口の推移として65歳以上の割合が伸び続けています。やはり、第三次産業であっても「転倒」と腰痛などの「動作の反動・無理な動作」が増加傾向にあるのはこうした背景があるからと考えられます。また、死傷災害が前年を上回りました。
今後の労災の傾向であらたに着目したい対象になるのは、女性、高齢者、障害者、外国人材等ではないでしょうか。労働人口の推移
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外国人労働者の増加
外国人労働者においては、実際に弊社への依頼件数が2018年から急激に目立ち始めています。政府は、同年6月、経済財政諮問会議にて外国人労働者の受け入れ拡大方針表明しました。その内容は、建設・農業・介護・宿泊・造船の5業種に新たな在留資格を設けるというものでした。
これと共に入国管理局は2019年4月から出入国在留管理庁に格上げされました。これら政府の進め方からもわかるように、外国人労働者枠はブルカラーの職種への受け入れ増により、今後も労働災害のリスクは高く、かつ仮に彼らが何らの事情により不法労働者であった場合においても労災給付は対象となりますので確実に労災事案は増えるものだと思われます。
高年齢労働者、非正規雇用労働者、外国人労働者などの雇用者層をふまえ今後も着実に労災事案は増えて行くものと捉えています。外国人労働者数の推移
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パワハラ、セクハラ、マタハラに関して
令和元年5月29日、労働施策総合推進法等の改正による「職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)」防止を義務付ける関連法(通称「パワハラ防止法」)が参院本会議で可決・成立しました。メディアでは某有名企業のおけるパワハラ発言などが常に取り上げられています。
まず、国の施策として「職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題の解決を促進させること」(ハラスメント対策)と明記し職場におけるハラスメント対策を促進させることとしています。会社としては、社内相談窓口を設置して相談体制を整備する必要があります。この法律は中小企業では2022年4月、大企業では2020年4月から義務化されました。
特にセクシャルハラスメントについては労災保険の対象として既にリーフレットが厚生労働省から出ています。精神障害の労災補償件数の推移と主な出来事
- 認定要件
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- 認定基準の対象となる精神障害を発症していること
- 精神障害の発病前おおむね6か月間に、業務による強い心理的負荷が認められること
- 業務以外の心理的負荷や個体側要因により精神障害を発症したとは認められないこと
- 認定要件の精査
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(1.)については認定基準の対象となる精神障害はICD-10第Ⅴ章に分類される精神障害の一部となるので弊社の専門医がカルテから情報を収集していきます。
(2.)の業務による強い心理的負荷については心理的負荷の総合評価が強、中、弱の3段階で評価され、強の場合において上記(2.)を満たすことになります。
(3.)業務起因性ではなく、業務以外の心理的負荷や個体側要因による鬱やアルコール依存症などについては必ずしも専門医が当初から労災認定を意識して診察を行っていないこともあり情報収集が十分ではないことが予想されますが、他院の受診記録のキーとなる診療情報提供の内容やカルテの経時的記録内容や処方の内容などから精査を行っていきます。
労働災害による自殺への考え方の変化
自殺が労働災害にあたるか否か
という考え方は
時代とともに変化してきた
1996年までは自殺はいかなる労働状況であっても労災として認められることはありませんでしたが、1997年に初めて2名の自殺例が労災で認められました。翌年には、労働ストレスに伴う精神障害での労災認定基準が定められ、重度の適応障害・抑うつ状態を呈した方に初めて労災が認められました。
心理的不可による精神障害の業務上外に係る判断指針
そして労災申請件数、労災認定件数は年々増加したことを受け、1999年厚生労働省は心理的負荷による精神障害の業務上外の判断に当たっては、精神障害の発病の有無、発病の時期及び疾患名を明らかにすることはもとより、当該精神障害の発病に関与したと認められる業務による心理的負荷の強度の評価が重要であるとし、基発第544号「心理的不可による精神障害の業務上外に係る判断指針」を策定しました。
近年の労災認定の指標
その後もパワーハラスメントやPTSDなどに対する評価の改定が続き、長時間労働においても、1か月平均の時間外労働時間がおおむね100時間を超えるような状態は心理的負荷の強度の指標とし、実際の精神障害発症の因果関係になるかどうかとは関わりなく、労災の認定が行われるようになるなど常に厳格化してきました。
労災の医学的精査の
重要性
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精神障害の判断
精神障害は外部からのストレス(仕事によるストレスや私生活でのストレス)とそのストレスへの個人の対応力の強さとの関係で発病に至ります。発病した精神障害が労災認定されるのはその発病が仕事によるストレスによるものと判断できる場合に限ります。仕事によるストレス(業務による心理的負荷)が強かった場合でも同時に私生活でのストレス(業務以外の心理的負荷)が強かったり、その人の既往症やアルコール依存など(個体側要因)が関係している場合には、どれが発病の要因なのかを医学的に慎重に判断しなければなりません。
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労働災害で多い事故とその鑑別
労働災害で多いのが墜落、転落、転倒、はさまれなどの事故です。そしてこれらで多く問題となるのが・・・急性期といわれる外傷による所見なのか経年性といわれる以前からある病変、または既往症との鑑別です。病変が経年性の変化なのか外傷性による変化なのかを放射線科専門医や整形専門医などが精査します。
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事故態様と受傷部位の検証
事故態様から障害を受けたと推定される部位やどの程度の外力による受傷であったのかを専門医が考察します。
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自覚症状や損傷の程度の検討
受傷部位における自覚症状や神経学的検査所見が合致しているのか、そして画像所見との整合性を精査します。診断名が適正な場合には通院の期間やその頻度などが明確になってきます。
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労災認定の障害等級への検討
MRIなどの画像所見と神経学的検査や可動域、神経系統や臓器の障害の有無、視力低下や調節機能の程度、障害の重症度に合わせた終身や介護などについて専門医師が検討します。障害等級が適正か否かの判断は各領域の医師が厳正に判断します。
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上記の様な医学的精査を行い医学的な見地から
専門医が労災認定を精査し、意見書をご提供いたします
よくある質問
- q人事部で相談したいと思っています。医療知識がなくても大丈夫ですか?
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aもちろんです。弊社スタッフの看護師が対応し、医療的解釈などサポートさせていただきます。
- q「お抱えナース」サービスに加入した場合、やりとりはどのように行われますか?
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aメールや電話、必要に応じてZOOMや直接面談でも対応いたします。
- qNDAを結んでからの依頼は可能ですか?
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a可能です。弊社の定型書式がございますので、まずはNDA締結希望の旨をお申し出ください。
- q実際に医師の意見書を依頼する場合には、どれくらいの費用がかかりますか?
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a事案の内容や資料の量によって変動しますが、意見書前相談サービスは20万円〜。意見書作成サービスは25万円〜が目安になります。
(意見書作成サービスの費用には、意見書前相談サービスの費用が含まれています。)
お見積もりは無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
- q鑑定書や意見書作成にかかる期間はどれぐらいですか?
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a通常、画像鑑定や意見書前相談サービスで1ヶ月、意見書作成にはさらに1ヶ月程度いただいております。
お急ぎの場合などは、あらかじめご相談ください。
- q対応できる科目は?
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a法医学・整形外科内科・脳神経外科内科・消化器外科内科・呼吸器外科内科・循環器外科内科・腎臓外科内科・小児外科内科・産婦人科・乳腺科・放射線科・血液内科・内分泌科・神経内科・頭頚部科・耳鼻科・眼科・口腔外科・皮膚科・形成外科などあらゆる科目に対応しております。
- qどのような医師に意見書作成等を依頼できますか?
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a弊社は100名以上の鑑定医ネットワークを有し、実績豊富な医師との繋がりがあります。事案の内容によって最良の相談医でのご提案をさせて頂きます。
なお、依頼する相談医とのやりとりは弊社が行います。お客様が直接やり取りをしていただくことはできませんので予めご承知おきください。
- q資料は何を用意すればよいですか?
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a通常は、医療機関のカルテや実施された検査記録、勤務状況のわかる資料、健康診断表、既往歴があればその情報、診断書、労災認定票、また、訴状などの裁判書面などですが、都度担当よりご説明いたしますのでご安心ください。
- q弁護士と相談に行ってもよいですか?
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aもちろんです。医療スタッフが事案の概要を伺い、どのように進めていくべきか、お打ち合わせも可能ですので、お気軽にお問い合わせください。